@hiesi 「
登場キャラクターが大好きだと思うし、キャラを使って、漫画が描きたいって気持ちは、すごくよくわかる。
例えば好きなキャラが死んだら悲しくて、キャラが生きている姿を、漫画にしたいって思う。
でも、私は、今の二次創作に対する空気感について、どうしても言いたい。
今、日本で創作を行っている個人クリエイターは、二次創作活動を認めることを強制されている。
それが、すごく嫌だ。
「何様だ」って思うだろう。「読者がいなきゃクリエイターは食っていけないんだぞ」って言われるだろう。「好きなことを表現して共有することの何がいけないの?」って感じるだろう。
その通りだ。私は、何様でもなくて、ただちょっと絵が描けて、漫画が描けるだけの人間で、とても弱い。
読者のみんなが、漫画を買ってくれなきゃ、あっという間に死んでしまう、本当に弱い存在だ。
「二次創作をして誰が損をするの?」って話になるよね。私なんだけれども。
その空気感が、本当に嫌だ。
だって、作品って私のもので、キャラクターもストーリーも、本当に、精魂を込めて、精神と魂を削って描いて放出しているものなんですよね。
それを好き勝手されると、嫌な気持ちになることがどうしてもある。
作品を1匹のぬいぐるみだとするなら、二次創作ってのは、そのぬいぐるみを分解して、紐解いて、目をくりぬいて、
自分の好みの別のぬいぐるみにしてるような、そういう行為。
「だったら見なければいい」だとか言われるだろう。それも一面的には事実だ。
でも、なんで?という思いも同時に強くなる。
なんで私が、私の作品を勝手に利用している人達のために、自分の行動範囲や視界の範囲を狭くしなければいけないのか。
作品の感想は本当にありがたいし、励みになるし、参考になる。
本当に嬉しいし、こんなに多くの人が喜んでくれるなら、私個人の感情なんて大したことじゃない、って気持ちになることだってある。
読者の方々を否定するようなこと、できれば書きたくない。
「クリエイターなら匿名でだらだら駄文を垂れ流してないで、作品で語れよ。表現者だろ」って言われるのもわかってる。
でも、結局私は商業作家で、最終的にはお金のために作品を描かなきゃいけないから、読者のみんなに、どうしても媚びなきゃいけない。
嫌われないようにしなきゃいけない。私という個人を殺して、読者が望む作家像というものを作り上げなきゃいけない。
だから、表立ってこういう意見を言えないし、二次創作を否定するような行動もできない。
「作品の面白さで黙らせろよ。本当に作品が面白くて売れれば、細かいことは気にならないだろ」って思うかもしれない。
「売れている○○先生はそんなこと言わないよ。××より売れている作品を描いてから言えよ」って煽られるかもしれない。
でも、私が一番壊したいのは、何よりもそういう空気だ。それって私の作品やキャラクターが好き勝手に利用されてもいい根拠にはならないと思う。
あと、「大御所になれば言いたいことが言えるようになるよ」というのは、間違っている。
ものすごく絵もネームも上手くて、私も尊敬していて、誰もが知っているような作品を描いていた同業の先生を知っている。
その先生には今、仕事がない。
結論から言えば、自分の子供のような歳の編集者とソリが合わなくて、もう仕事がこなくなった。
別に編集さんだとか出版社の方を叩きたいわけじゃない。
原稿料が履歴書に応じて高いだとか、作風が古くなっただとか、業界の狭さだとか、
とにかく他にも理由が複合的にあると風の噂で聞いたけれど、とにかくその先生にはもう、仕事が来ていない。
私の憧れだった先生は、あっさりと未来の無い作家になってしまった。
所詮、個人クリエイターなんてのはその程度の存在だ。
私達には印税がある。電子書籍は、絶版でも買って貰える。電子書籍の印税は少し配分が良い。
今は、ファン支援サイトがある。ファンから直接支援をしてもらえるサービスがある。
それに現在進行形で、従来の出版社だけじゃなくて、色んな企業が漫画を作りたくて色々と動いている。
その人達は、お金だって慣例に囚われない額を提示してくる。
色んな選択肢はある。これからも選択肢は増えるだろう。
その選択肢を、消したくない。
読者に嫌われるということは、選択肢を自分から消していくということだ。
編集者さんや出版社さんから「面倒な人物」と少しでも思われることは、自分の未来を潰すことだ。
「面白くて売れるものを描いていればいい」なんて一番難しいけれど、やりがいがある道を潰したくない。
だから私は、二次創作をやめてくれと、ファンに言えない。
そもそも二次創作って違法じゃないか、なんて思ってはいけないことになっている。
「二次創作は文化だ」とか「好きなものを表現するのは尊い、誰にも妨げられてもいけないこと」といったような、
すごくセンシティブな空気が出来上がっている。
漫画内で二次創作を否定するような意見を表明することも、最早できない。
ガイドラインをわかりやすく作って、「こういうのはOK」「こういうのはNG」とファンの方たちに説明するだとか、
編集さんに企業としてそれとなく動いてもらうだとか、そういうことができない。
「二次創作に対して何かを言わない事が正解」になってしまっている。
そして、こんなところに匿名でこういう文を垂れ流しても、何も解決しないことも、当然わかっている。
だから、これは呪いだ。
人を呪いたくて、ここに文章を書いている。
「貴方が二次創作を書いている作品の原作者も、そう思っているかもよ? 二次創作、嫌かもよ?」
という傷を残したくて、こんな文を書いた。
「好きなものを好きなように解釈して、独自の表現をして、それをみんなと共有する」という行為が、
今のSNSだとすごく尊いもののように扱われている。
その自由を守るためなら二次創作が許されるという風潮を少しでもぶっ壊したいと思って、こういう意見を表明した。
人を呪ったら、少しスッキリした。
大御所になっても解決しないなんて書いたけれども、超大御所になれば話は違うかもしれない。
超大御所になって、少しでも自分の意見を業界に通せるようになって、そして私の望む世界を作るために、これからも努力しようと思う。
論拠をわかりやすく言うと
・著作権を守ってください
・実質的に個人の作家が二次創作を嫌と言えない、もしくは言いにくい空気感を変えていきたいです
ということだけだ。
かっこつけるのをやめて言うと、
本当に勘弁してください。二次創作、本当にキツいです。
黙認というか、こっちが言えないだけで違法で犯罪者じゃん……と思ってるんで頼むからやめてください……
※
追記をすると、ゴロ、つまり金のために二次創作をやっている人達にヘイトを向けているわけではないです。
(ゴロの方々とは、「金」という共通言語があるので、非常にわかりやすく話し合いができると考えています)
むしろ「好き」を表現する手段として和気藹々と二次創作を行っている人達の方がはるかに『厄介』です。
自分達を善き人だと思い込んでいる人達に向けてこのメッセージを書いています。よろしくお願いします。
」とのことでした笑、今ごろ文章から特定されてるんやろなあ。理解・分解・再構築はネイティブアルターの基本、足の引っ張り合い私刑制度のある日本では軽口は永遠に許されないよ